5つの欠片
口の中に残るビスケットの粉。
詩の蜜がついたそれは甘さを増す...



俺はコーヒーを一口含んだ。
たちまち甘さが消えてほろ苦さが残る。



相変わらず可愛い詩がこっちを見つめてる...



「なに?詩も飲みたいの?」



そんな訳ないのは分かってる。
ブラックなんて飲めないでしょ?



「いらない」



案の定、予想通りの答えが返ってくる。
だけど、ちょっとからかいたくなっちゃったんだよね。



「なんで?うまいよ?
 詩も飲みなよ。」



「いらないよ...おいしくないもん。」



「そんなことないって。これ詩が淹れてくれたんだよ?詩は俺にうまくないもんくれたの?」



「..................」





黙り込んで視線をそらす詩の顔を両手で包む。
困ってる顔がまた可愛い...




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