5つの欠片
詩がころころとキャンディーみたいに表情を変える。
次は何色のキャンディーが出るのか楽しみで、ついついからかいたくなる。




「ね、1口あげる。」



俺はマグカップを掴むと、詩の口に近づけた。




縋るような目で見上げてくる詩。
そんな目で見ても、許してやんない。




なかなか口を開かない詩の唇に無理やりマグカップをつけた。
徐々に斜めに傾けると、観念したように少しだけ隙間を作って飲んだ。




含んだ瞬間に歪んでいく詩の顔...
やばい...ちょっと興奮するんだけど...



どーしよ...たまんない......




すぐにでも出したそうにするから、顎を押してやった。




ごくって音と共に詩の喉が動く。
だらしなく口の横から漏れたコーヒーを舌で掬ってやった。




そして、詩を強く抱きしめると耳元で声をかけた。





「お行儀悪いね…詩ちゃんは…」




耳たぶを舐めると、詩の背中がぶるっと震えた。
あれ、そーいえばここ敏感なんだったっけ...?









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