5つの欠片
「違うよ、それじゃないもん...」



「だーめ...詩はこっちなの」



「...なんで?」



「詩が大人になるため」



「ブラックが飲めたら、大人なの?」



「子供ではないでしょ?」



取って付けたような理由だったけど、詩は妙に納得してた。
マグカップを手に取ると、真っ黒の液体を眺めてる...



「詩...飲ませてあげよっか?」



詩の真意を知りたくて、目の奥の奥を見つめる。
キラキラの瞳は透き通った茶色で、思わず吸い込まれそう...



俺は詩からマグカップを取ると、自分の口にコーヒーを含んで詩の唇に押しつけた。




特に抵抗することもなく受け入れてくれる詩。
でも、薄目を開けるとやっぱり苦いのか眉間にシワがよっていた。




「.........おいしい?............詩?」




詩は何も言わずに頷いて、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俯いた...






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