5つの欠片
「ちょっと...和くん...」


「ん...なに?」


「ご飯作れないじゃん...」


「ゆっくりでいいよ。」


「だめだよ...早くしないと冷めちゃうでしょ?」


「いいじゃん...冷めても。」



「和くん...」




頭から手を離して背中にずらすと、詩がトロンとした目で見上げてくる。
まるで林檎みたいなほっぺた。
まん丸で赤くてぷにぷに。
指でつんつんすると、恥ずかしそうに笑った。



「なに?」



詩が不思議そうに目を丸めて、見上げてくる。
綺麗な茶色の瞳が揺れる。





「ん?気持ちいいなぁーと思って」


「もちもち?」


「んー、ぷにぷに」


「ふふ...なにそれー」



「ふふ...こっちのほーがもっと気持ちいいけどね。」





そう言って、人差し指を唇に移動させた。
真っ赤な可愛い唇の上を滑らせる。
赤かった林檎がもっと赤くなった...





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