5つの欠片
留学先からはできる限り電話をかけたし、メールも送ってる。
詩の情報を得られるのはこれしか無かったから、時間が空けば詩と連絡を取った。




少しでも帰れそうな休みが取れたら帰ろうと思ってたけど、さすがにそれは難しくて。
詩が個展の時だけでも帰ってくる都合をつけるのは大変だった。




だけど、個展の時は本当に怖くて…
電話してもたまにしか出なかったり、メールも返信が来なくなる。
詩が俺から離れていくように思えて仕方なかった。





だから、帰ってきたときは四六時中ってぐらい詩の傍にいるようにした。
いつも居られない分、寂しさを消すぐらいいっぱい…





…でも
それでも、いつか溜まってるものが爆発するだろうって思う。
毎回たまに見せる愁いを帯びた詩の瞳に胸を締め付けられる…
そしたら、詩は俺から離れていくのを望むんだろうか。






寂しさは1人では埋められない…
ヒトはそんなに強くない…




分かってるよ、十分すぎるぐらいに…





詩…ごめん…
我が儘で…






だけど…好きだよ……
どうしようもなく……






きっと辛いことの方が多い。
だけど、この手だけは簡単には放すことができない…





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