5つの欠片
「……和くん…?」




詩の声に我に返って顎を外すと、いつの間にか心配そうに見上げる詩の姿があった。
咥えられてた人差し指がゆっくり口の中から出てくる。




詩の蜜が糸を引いて、ふにゃふにゃになった指と詩の口との架け橋が見える。
両手が外されて、そのまま出てきた濡れた指を舐めた。




詩の味がする…
ちょっと酸味があって、だけどとてもとても甘い味…




「……詩……」




詩を引き寄せて、頭を撫でた。
ちっさい頭…
詩のパーツは全部ちっさい。
ちっさくて…可愛い…





「ねぇ…和くん」



「…ん?」



「今、なに考えてたの…?」



「んー、詩のこと滅茶苦茶にしたいなぁーって…」



「…嘘つき」



「なんで?」



「和くんはそんなことしないよ…」





そう言うと、俺の胸に顔を埋めてぎゅっとスウェットを掴んだ。





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