5つの欠片
くるっと振り向いた詩のまん丸な瞳が俺を捕らえる。
詩の瞳を見つめ返すと、吸い込まれそうになった。





「...誰よりも大好き」




俺が求めてた詩の可愛い言葉が廊下に響く。
思わずぎゅーっと抱き締めて、セットされた栗色の髪の毛を撫でた。




やっぱり今言わせるんじゃなかった。
余計に行かしたくなくなる...




「和くん、電車いっちゃう...」


「ん...分かってる。」




しゃーないか...
渋々腕から詩を解放してやる。
さっと靴を履いて振り返った詩は、笑顔だった。




「詩...」



そっと頭を引き寄せて、唇に優しくキスを落とす。
ゆっくりと唇を離すと、詩の甘い味に自然と笑顔になった。




「いってらっしゃい」




詩の頬が紅潮してるのは、チークだけのせいじゃなさそう。
みるみるりんごになる頬にまた触れたくなる。






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