5つの欠片
「...うん、行ってくるね!」




はにかんでそう言うと、笑ったまま詩が目の前の扉を出て行った。




ガシャンと扉の閉まる音が響く。




...行っちゃった。
つまんないの。



俺はリビングに戻って、散らかったままのテーブルを片づけた。
朝ゆっくりし過ぎて、朝ご飯の食器が全部のってる。




時間が足りなくて詩が飲み残したコーヒーに口をつけた。
やっぱり口の中は一瞬で甘さに支配される...



広がる詩の味...
さっきのキスと似てる...




甘い甘いコーヒーが体に染み込んで、詩の存在が刻まれる...





なんでこんなに...




詩が好きなんだろう...





詩が出て行った扉を見ると、笑った詩がうっすらと浮かんで見えた。




< 80 / 110 >

この作品をシェア

pagetop