5つの欠片
後ろからさっと左手にぶら下がってたビニール袋を取った。
ばっと振り返った詩の顔は口がぽかんと空いてたけど、俺だと分かるとすぐにふんわりとした笑顔になった。




「おかえり。」




詩につられて笑顔で言葉を交わすと、詩は通話口をそっと手で押さえた。





「ただいま、和くん。ありがとう。」



「ん、いいよ。それより電話いいの?」



「あ、いけない。ごめんね。」





そう言うと、詩は通話口から手を放して手短に言葉をかけた。
すぐに電話を終えると、俺の方を見てニコッとほほ笑む。





やっぱり向日葵みたいで、この笑顔を独占したくなる…
誰だよ、りょうちゃんは…





「良かったの?りょうちゃんとの電話は。」



「え…?ふふ…うん、要件すんでたから大丈夫。」



「なんで笑ってんの?」



「んふふ…嬉しいから」



「なんで?」



「和くんに大事にして貰ってるのが分かるから…」





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