5つの欠片
店長の目を横目で見て、亜衣ちゃんの居るテーブルに移動した。
笑顔を忘れずに近づくと、亜衣ちゃんは満足そうに笑顔になった。



「ねぇ、大地くん!今日はやってくんないの?」



俺が来るなりそう言って亜衣ちゃんが指差したのはグランドピアノ。
かなり立派なピアノで、俺はたまに弾いたりしていた。



「ごめんね、1日1回って決まってるんだ...
 今度は早く来てくれたら喜んで弾くよ。」



「なぁんだ、そーなんだぁ。前来た時はね弾いてくれたんだよ!!
 すっごい上手なの!」



亜衣ちゃんがちょっと興奮気味にそう言って、友達の方を向いた。



「なんだぁ...残念。
 じゃあ、今度は頑張って早く来るね。」



友達は言葉をこぼすと柔らかく笑って俺を見上げた。



亜衣ちゃんとはちょっと違うタイプだなー
亜衣ちゃんよりも丸い感じ。



俺は軽く会釈すると、2つの空いたカクテルグラスを持ち上げた。




「ドリンク、どうしよっか?」




亜衣ちゃんの方を向いて問いかけると、2人とも同じものを頼んだ。







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