5つの欠片
《ガチャッ》



「いらっしゃいませ。」



2つのグラスを運んでいると後ろで扉が開く音がして無意識に声だけ発した。



「お待たせ致しました」



来客の方は特に気にすることもなく、目の前のテーブルに2つのグラスを並べる。
カウンターの方に行く感じだったから、多分店長が対応してくれるだろう。



目の前で、また2人の目がキラキラと光るカクテルに引き寄せられてるのが分かる。
やっぱり店長のカクテルは絶品だ。




嬉しそうな表情を浮かべる2人を眺めていると、カウンターの方で櫂の明るい声がとんだ。




「千鶴さん!お久しぶりです!」



は...?!



は...?



鮮明に聞こえてきた櫂の声。
勢いよく顔をあげると、カウンターに居る店長の前になじみのある背中が見えた。



ちづちゃん!?



唖然としてる俺を櫂が笑って見つめてくる。




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