5つの欠片
あ…この目…
やっぱり魅力的なんだよなぁ…



頬杖をつきながら店長を眺めるちづちゃんは、いつもよりちょっと大人っぽい…
なんだよ、あんな表情。
俺と居る時はめったにしないくせに…




「おい、大地!亜衣ちゃんとこっ」




突然耳に入ってきた櫂の声に我に返る。
櫂のひじがさしてる方向を見ると、亜衣ちゃん達が帰る準備をしていた。




「ったく、千鶴さん見すぎだっつーの!」




櫂はそう言って俺の頭を小突くと何事もなかったようにカウンターに入った。




なんか調子狂う…
だって気になってしゃーないんだもん…
むしろ見ない方が難しい。



踵を返すように亜衣ちゃんのテーブルに近づくと2人とも上着を羽織っていた。




「本日はありがとうございました。満足してくれた?」




2人の顔を交互に見て、できるだけ目の前の接客に集中する。
だけど、店長のシェイカーを振る音がやけに耳についてカウンターが気になる…




「うん、満足!今日も美味しかった、また来るね♪」



亜衣ちゃんは今日一番の笑顔を見せてくれた。
友達もあのふんわりとした柔らかい表情で笑ってて一安心する。






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