5つの欠片
「ありがとうございました」



亜衣ちゃん達を見送るために外に出ると、夜の風が少し肌寒かった。
頭の上には下弦の月が浮かんでる。




「また来るね♪」



亜衣ちゃん達は手をひらひらとふってそう言うと、駅の方に歩いていった。
曲がり角まで見送ると、ふっと力を抜いた。



はぁ...、寒い...



腕時計を確認すると0時を過ぎたころだった。
店内に入っても、もう4人しか残ってない。



ちづちゃんは相変わらずの酒好きで、ちょっと酔いが回り始めてた。
さっきより赤く火照ってる顔が何よりの証拠。



カウンターに行くと、ちづちゃんはちょっと垂れ目になって俺を見つめてきた。
ぷっくらした唇がグラスにあたる度に変形する...




「ちづちゃん、飲み過ぎ。」



「そんなことないよぉー、美味しい!」




そんな表情されたら、なんも言えないじゃん...
明日も仕事のくせに...





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