ピンクの空


『はあ~まったく』




翠はため息をついて、あきれたようにあたしを見た。




「なによつ」




『あんたね~好きになろうって思って好きになれないのと一緒で、好きになりたくなくたって、好きになっちゃうんだよ?』





急にまじめな顔つきになった翠に、あたしは何もいえなかった。




『大事な人が居るって、幸せじゃん。その人が近くに居るなんて、それ以上の幸せないじゃん』




痛々しく笑う翠。




『夏美、あんたの良いところは、自分にも人にも嘘つけなくて、すぐ顔に出ちゃう素直なところ。自分に嘘つくのなんて、やめなね?』








< 17 / 313 >

この作品をシェア

pagetop