【短編】俺様彼氏
「何つったってんの?カレーパン」
そう言いながら、あたしの目の前に
掌を広げた。
「あ…カレーパンなんだけど
う…売り切れで無かったの!」
あたしは、怖くなって俯いた顔をあげて
優真を見上げた。
「ご…ごめんね?」
「………っ…!!」
一瞬、優真の顔が赤くなった気がしたんだけど…
「…何で?」
と、無表情であたしを見下ろしていた。
やっぱ、勘違いだよね…
「何でって言われましても…」
「亜~優ちゃんっ♪」
あたしは、声の主を見て驚いた。
「た……多田くん?!いつから、あたしのこと…!!」
名前で呼ぶようになったの?!
と言おうとしたのに、
多田くんはあたしの唇に人差し指をあてた。
「………」
多田くんは、優真に顔を向けたあと
あたしを見て
「平野、カレーパンなくて不機嫌なの?」
と聞いてきた。