君想ふ聖夜


ホテルを出ると、冷たい風が頬に当たる。

コートのフードを被って、銀髪を隠し寒さから身を守りながら近くのコンビニに足を運んだ。

予想通り、おにぎりと漬け物が並ぶ棚がある。

ちょっとだけ微笑みを見せた聖は、品物を取った途端固まった。

…現金が無い。

身ひとつで連行されて、ワンピースに着替えさせられたので、札はおろか小銭すら持ち合わせていない。

電子機器を使いこなせない聖でも、常識はある。
我が儘を言って買えるわけが無いのは重々承知。



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