君想ふ聖夜
これなら無理に言ってでも旅館に変えれば良かった、と後悔した。
「私は会社に戻るから。」
「僕にどうやって屋敷に帰れって?」
「明日、切符渡す。その為に駅に一番近いホテルに通してあげたんだから。」
聖の父親は大企業の社長で、ホテルも経営のひとつとしてある。
ロビーでカードキーを受け取った母親は、それを聖に渡して颯爽とホテルを出て行く。
既に荷物はホテルマンが持っていて、聖はその後に続いた。
「こちらになります。」
特段広いというわけでも無い部屋に通される。