ここからまた
それは4月の終わりごろ、たまたま練習の休憩中に水道場に行った時だった。


その日は体育館ではなくグランドにあるコートでの練習だったため、汗だくだった顔を洗いに行った。

さっぱりした顔をタオルで拭いた。



ほんとにたまたまだったんだ。

上を向いて顔を拭いてたなんて。


タオルをどけると目線の先には、特進科しか使えない特別自習室。

名前のとおり、勉強するためだけの部屋で、他の教室とは違い個別の部屋になっている。



生徒が集中できるように、らしい。



そんなとこにいるやつなんて、勉強のことしか頭にないやつだて思ってた。


だから、気になってしまったんだろうか。




机に向いているはずの視線が俺たちに向けられていることに。







寂しさの色を浮かべた、その瞳に。
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