ここからまた
あの特別自習室の彼女だった。


肩より少し下で揃ってる艶のある黒髪。

くりっとした大きな黒目が特徴で、吸い込まれそうなほど、キレイな瞳だった。



俺が見てた『寂しい瞳』は、そこには全くなく、初めて見た彼女のキレイな瞳に釘付けになった。



「あたしもボーっとしてたのが悪かったですし。お互い様ですね。」



ニコッと笑顔を向けた彼女を見て、顔に熱が集まるのがわかる。




(やべっ。この人笑うとめちゃくちゃかわいい…)



今まで寂しいそうな顔しか見てこなかったから、この笑顔は反則だろ…


なんて思いながら、赤くなった顔に気付かれたくなくて、口元に手をあて、顔を反らす。



彼女はそんな俺に気づくことなく、落ちた自分の荷物を拾い上げた。
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