ここからまた
パンパンっ

荷物についた汚れを叩いている音に我に返る。



「ほんとにすみません。ケガとかしてないですか?」


「そんなに気にしないで下さい。あたしけっこう丈夫ですから。」


また笑顔でそうやって答える彼女。


やっぱり彼女にはこうやって笑ってるほうが似合うと思う。



「あら、君1年生か。早く朝練行かないと先輩に怒られちゃうよ。」


「えっ!」


なんで俺のこと知ってるんだ!?

なんて顔に出たんだろうか。


「上履きの色、1年生のだし、そのスポーツバッグにバスケ部って入ってるから。
だから、こんな時間にいるってことは朝練しかないかなって。」



クスクス笑いながらそう言う彼女。


そうか。


彼女が俺のことなんて知るわけないのに。


俺が一方的に彼女を知ってるだけなのに、何を勘違いしてんだか。




「それじゃあ。
……。朝練がんばってね。」


フッとあの寂しいそうな瞳が見えたかと思ったら、笑顔で去っていった。


俺の見間違え?

そんなことを思いながら、彼女の背中を見送る。



「…っ朝練やべ!!」




これが彼女との初めての接触だった。




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