愛玩~夢幻の秘密~

そっと胸に刃を当てて。


…ッ…プツッ…。


ジンワリとにじむ血。


真っ赤なはずの血が、月明りで真っ黒に見える。


心が真っ黒な闇の中だから月明りでもこんなに黒く見えるんだ。


もし…この胸を切り取ったら?


もう1度、カッターナイフの刃を胸に当てて。


痛みなんて感じない。


もう、感覚もない。


もう1度…


もう1度…


腕にも…


何回も醜くなるように傷をつけて。


顔も見れないように。


カッターナイフの刃を当てた。


「おい…何をしている?」


えっ!?
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