愛玩~夢幻の秘密~
「今日は午後からだから。たまにはね?」
「でも…。」
本当は一緒にいたいよ。
でも…少しでも距離が近づいたら。
この傷あとがバレそうで。
「ほら、本当に遅刻するよ?」
そう言いながらドアを開けた。
「大丈夫。今日は友達と約束してたんだ。」
それも…ウソ。
慌てて走って家から出た。
走ってるから苦しいわけじゃない。
ただ…
郁人と距離を置かなきゃいけないことが苦しくて。
全速力で走る足を止められない。