愛玩~夢幻の秘密~
「いいもん!!あたしは郁人に車で送ってもらうから。」
ベェ~っと舌を出した。
「じゃあ、お兄ちゃんも乗せてってぇ~。」
ギュッと郁人に抱きついた。
「ダメ!!2人とも自分で行く。」
ムッとした顔であたし達を見回した。
「ええ~?ここ最近、いっつも送って行ってくれないよね?中3になるまでは、いっつも送って行ってくれたのに。」
ブスッと口をとがらせた。
「俺も忙しいの。」
そう言いながら、ソファにかけてあったジャケットを手に取ると、さっさと玄関に出て行った。
「残念だねぇ~。優しい郁人くんは、葵織ちゃんよりお仕事が大事なんだって。」
耳元でボソリとつぶやくと、柚兄もさっさと玄関に出て行った。
「ひどい!!!」
そうワメキながら、あたしも慌てて玄関に走った。
玄関を開けると、イジワルそうな笑顔で郁人の助手席に乗って柚夢が手を振ってた。