愛玩~夢幻の秘密~

「どうしてだ?」

「あ…いつも、あたしが食べてるのを見てるだけだから。」


ドクン

ドクン


返事が怖い。


変なことを聞くなとか怒られそうで。


「嫌いではない。」


ほんの少し。


きっと見間違いだと思う。


一瞬だけ口元が笑った気がして。


その口元に、スッとイチゴをひとつ差し出した。


「食べる?」


言葉は堅い。


いつ怒られるか分からないから。


でも…少し笑った顔が思わずそんな行動をさせた。


「ああ…。」


そう言いながら。


微笑んだ顔になった。


初めて向けられたその顔が。


あまりにもキレイでビックリしちゃって。


パクッと食べられたはずのイチゴ。


差し出したままの手。


「……。」

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