愛玩~夢幻の秘密~

「どうして?なんで柚夢だけ?」


泣きそうな顔をしながらドンドンと窓を叩くと。


ほんの数センチだけ郁人が窓を開けた。


「同じ会社だから。葵織は方向逆だろ?」


それだけ言うと窓を閉め、車が走り出した。


「だからってひどいよ!!どうせ、柚夢なんか重役出勤のくせに!!」


大声で叫んでも、車は遥か彼方…。


ふくれっ面で渋々と歩き出した。


ポケットから携帯を取り出して。


『郁人のバーカ(-_-)/~~~ピシー!ピシー!』


送信完了。


いいもん。


最近、ダイエットしてるし。


自分を慰めるように言い訳して。


返信の来ない携帯を握りしめた。

< 15 / 412 >

この作品をシェア

pagetop