愛玩~夢幻の秘密~

「いじめられてるって…苦しくて自分を傷つけるくらいだったら、どうして話してくれなかったの?俺って葵織にとっては、その程度の人だった?」


バカだ…。


何を安心してるの?


鷹都のことじゃなくて。


柚夢の勘違いが、そのまま郁人に伝わっただけって。


それが分かったら。


急に体中の力が抜けた感覚。


「違う…郁人はその程度とかじゃなくて…大切な人だから。」


だから…言えないよ。


「大切だったら、話してくれてもいいんじゃない?忙しいとか、迷惑とかそういうのを考えてたんだろ?」

「あ…うん…まあ。」


「そっちの方が悲しいよ。」

「どうして?」


「自分の愛する人が苦しんでるのに、知ることが出来ないのが一番悲しい。」


ため息まじりで少し怒った感じだけど。


どこか優しい口調。


「郁人…。」


ジッと見つめる目に。


思わず胸の中のつかえが取れそうで。


ギュッと首元にしがみついて。


こぼれ出てしまいそうな言葉を。


郁人の唇に押し当てて。


キスでフタをした。


…本当は。

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