愛玩~夢幻の秘密~

郁人だったら。


助け出してくれると思う。


でも…


怖い。


知られてしまうことが。


もしも…


全てを無くしてしまったら。


万が一にも。


郁人に嫌われたら。


頭の片隅にあるほんの少しの恐怖が。


全てをさらけ出せないでいる。


「…葵織?」


離れた唇から、いつもの優しい郁人の声が出てきた。


「なに?」


ゆっくりと郁人の顔を見た。

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