愛玩~夢幻の秘密~
「違う…そうじゃなくて。いきなりで…そういうのって、もっと先だと思ってたから。」
心の中を見透かされないように。
精一杯の笑顔を作りながら。
あたしも視線を下に向けた。
「そうだよな。葵織はまだ16歳になったばかりだし。これからもっといい人に出会うかもしれないからな。」
そう言いながら寂しそうに笑った。
「そうじゃなくて。あたしは郁人だけって思ってるよ?でも…思ってもいなかったから。」
見上げた郁人の顔が、寂しそうな笑顔で。
ギュウウッと胸を締め付ける。
鷹都のことがなかったら。
即答で答えてた。
だって、あたしは郁人が大事だもん!!
「じゃあ…いい答えだと思っていいのかな?」
パッと明るい表情に変わった。
でも、言葉は恐る恐る。
「あ…うん。」
戸惑ったふりをしながら答えた。
心の中は不安でいっぱい。