愛玩~夢幻の秘密~
「いちよう、大丈夫だとは思うけど。」
郁人がキッチンに向かうと、冷蔵庫の中をのぞいた。
「そうだ、せっかく3人で集まったんだ。1973年のロマネ・サン・ヴィヴァンがあったはず。」
「マジであのワイン開けるのかよ?」
相当、驚いてるけど。
そんな驚くようなワインなの?
「いいじゃないか。3人で飲めるなんて最初で最後かもしれないからな。」
最初で最後…
その言葉が、グリグリと胸をえぐる。
「そうだけど…。100万…」
ブツブツと眉間にシワをよせながら困ってる。
「ワインセラーになかったか?」
「あった気がするけど。」
まだ、ブツブツとつぶやきながら。
リビングを出て行ってしまった。
その瞬間。
急激に空気が重たくなった。