愛玩~夢幻の秘密~
「アレは、オレの不貞(ふてい)の娘だ。」
耳を疑った。
そんな話は聞いたことがない。
「冗談はやめてくれよ。真顔で言われたら、言葉につまるだろ?」
笑って返した。
「どうして、あんなにオレの母親に似ていると思う?」
「それは偶然…」
「偶然…そう思わせておけば、楽だからな。」
「どういうことだよ?」
「オレは、父親に虐げられている母親に同情した。あんな父親から守るつもりだった。それが…いつしかそういう関係になった。」
「…ウソだろ?」
冗談にも程がある。
「郁人が引き取られる前だ。知らないのも無理はない。だから施設に預けた。まさか、息子の子供を産んだなんて世間に知られるわけにはいかないからな。」
アニキの顔は何一つ変わらないのが怖い。