愛玩~夢幻の秘密~

「それが…本当なら。」


ゆっくりと視線を下に向けた。


アニキの目を見るのが怖くて。


視線をそらさず話すアニキの次の言葉が怖くて。


「そうだ。郁人とは姪になるな。」


グサッと突き刺さった。


聞きたくなかった言葉が。


胸の中だけじゃなく。


考える思考回路にまで深く突き刺さった。


「どうして…今まで隠していたんだよ?」


ありきたりの質問しか出てこない。


ただ、ギュッと手を握りしめた。


「柚夢は知っているからな。偏見を持たれたり、本人に知らせるわけにはいかない。郁人なら何も知らずに同じような境遇と思って、面倒を見ると思ったからだ。」


淡々と出てくる言葉。


あの日…


葵織が引き取られた日。

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