愛玩~夢幻の秘密~

「ねぇ…郁人。」


小さな声でつぶやきながら、郁人のスーツのジャケットの裾を引っ張った。


「ん?…ああ、葵織は初めてか。一番上のアニキ。」

「えっ!?」


この人が?


「ああ…お前が。」


蔑(さげす)むような視線。


フッと鼻で笑うと、そのままリビングを出て行ってしまった。


初めて会ったのに…。


たった一言。


それだけ?


ずっと会えなかった妹に会えたのに…。


もっと優しい言葉をかけてくれると思ってた。


なのに…。


悲しくて震える手をギュッと手を握りしめた。


バンッ!!


突然、郁人が勢いよく部屋を飛び出した。

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