愛玩~夢幻の秘密~
まるで…
あたしの気持ちを見透かすみたいに。
「アニキ!!初めて会った妹に、それはないだろ?」
廊下に響く声。
やっぱり。
郁人は分かったんだ。
本当はあたしが追いかけて聞きたかったこと。
でも。
不思議なくらい足が動かなくて。
きっと、あの冷たい視線のせい?
まるで足が凍りついたみたいに動かなかったもん。
多分…それだけじゃなくて。
この7年。
思い描いていた優しいお兄ちゃんのイメージとはかけ離れていて。
こんなにも冷たい人だって想像もしてなかったから。
期待を裏切られた分。
行動に移せなかっただけ。
「妹ねぇ…そんなわけないだろ。」
かすかに聞こえたお兄ちゃんの声。
何かの聞き間違い?
それとも…。