愛玩~夢幻の秘密~
ギュッと握りしめた手。
鷹都と柚夢の後ろを案内されるまま歩いて。
うつむいてた視線をゆっくりと上げた。
その先に。
もう、あたしに向けられることがない郁人の笑顔があって。
談笑してる…
その視線の先に見えた女の人。
その女の人の両脇に。
きっと、女の人の両親だ。
初老の男の人と少し若い感じの女の人が座ってる。
チラッと郁人がこっちを向いて立ち上がった。
「お待たせしました。」
鷹都が一礼をして。
初老の男の人と握手をした。
「こちらこそ。この度は…。」
みんなが立ち上がった。
きっと、逃げ出したい気持ちが勝ったと思う。