愛玩~夢幻の秘密~
「葵織ちゃんがこの家に来るまで、郁人はこの時間には家にいなかったよ。」
「それ、どういうこと?」
…お目付け役。
昨日のお兄ちゃんの言葉が頭の中に蘇った。
「郁人はアニキに忠実っていうか…顔からしてそっくりだからな。」
「似てないよ!!」
郁人はあんなに冷たい人じゃない。
「あれ?会ったの?」
「うん、昨日ここで偶然。」
「そっか…。」
そこから先、一番聞きたい言葉が出てこない。
「ねぇ、いいことってそれ?」
昨日の事と関係ないじゃん。
全然、いい話でもない。