愛玩~夢幻の秘密~
「どうして?」
「引き取るって話が出たのも、アニキが大きくなって素性を知ったら揉めるって話だったから。世間にバラさないように…っていう理由。親父はどこかの女とニューヨークで暮らしているよ。俺達ですらもう10年以上会ってない。まあ、アニキは仕事で連絡は取っているだろうけど。」
「じゃあ…。」
「郁人じゃないの?自分と同じような境遇だから。」
そっか…。
郁人だったんだ。
なんか…全部納得できる。
あの優しい文面も。
迎えに来てくれた時の優しい手も。
全部がスッキリと収まる。
ガチャ…
急にリビングのドアが開いた。