愛玩~夢幻の秘密~

「だろうな…さあ、ひと思いにこの胸を貫け。何もかもを終わりにしろ。」


鷹都のまぶたが閉じたのに。


あたしの震えは全身に広がって。


ポロポロと大粒の涙が止まらない。


「どうして…どうしていつものように、冷たく怒ってくれないの?そんな…そんな優しく問われたら、人形は人の心を取り戻しちゃうよ。」


振り上げたはずのナイフが、カランと金属の冷たい音を立てながら。


冷たい床の上に落ちた。


耳の奥に響くバラ園で会った時の言葉。

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