愛玩~夢幻の秘密~
「大概の『しつけ』はされているんでしょう?十分、楽しませてもらいますよ。」
「人のお下がりを買いたがるとは、ずいぶんといい趣味をお持ちですね?自分には分かりかねますが。」
「私は、なんでも楽しむ主義でね。人のモノを盗み取る主義はないからね。買い取ろうと言っているんだよ。いいだろう?そこに情などという、くだらないものはないのだから。」
「奥方がどうこうなどと理由をつけないで、初めからそうおっしゃってくださればいいものを…。」
フッと鼻で笑った。
「建前は必要だろう?」
そう言いながら、神楽さんが立ち上がると、デスクの引き出しの中から小切手を取り出した。
「13億…アレをしつけるのに使った費用と手数料。それで売りましょう。」
鷹都の冷たく低い言葉が聞こえた瞬間。
あたしの中の何かが大きな音を立てて割れる感覚がした。