愛玩~夢幻の秘密~

「葵織、聞いていたのか?」


神楽さんが驚いた顔をしている。


なのに、鷹都は顔色が変わらない。


「あたしを…あたしを何があっても手放さないんじゃなかったの?なのに、お金を出されたら手放すの?」


ジッと鷹都の顔を見た。


「お前もやっと解放されて、嬉しいだろう?」


その冷たくて鋭い視線が苦しい胸を突き刺す。


「だったら、郁人の時にどうして手放してくれなかったの?」

「まだ根にもっていたとは…これで手放されるんだ、好きにすればいいだろう?」


まるで、見下すようなその言葉。


グサリ、グサリと言葉の棘が胸を何度も刺す。

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