愛玩~夢幻の秘密~

居てくれるって思った。


数年前と違って。


心が通じ合ったら。


あたしを笑顔で迎えてくれるって。


…でも、現実ってそんなもの?


鷹都は鷹都であって。


心が通じ合っても、何も変わらないって。


冷たいまま。


人としては…これからも扱ってはもらえないのかな?


顔はうつむいても、涙が出ないのは。


覚悟はできていたから?


自分でも不思議。


「なあ、ちょっと出かけないか?」


ポンと柚夢が肩を叩いた。


そして、そのままリビングから出て行った。


どうせ、この家に居ても一人ぼっち。


今日くらい、柚夢と出かけてもいいかな?


きっと、1人になったら。

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