愛玩~夢幻の秘密~

それは、悲しみを心に宿さないように。


涙で押し出している。


「壊してしまっても…悲しませてしまっても。それでもそばにいたいと、これを受け取ってくれるか?」


あたしの前にひざまずくと、スッと小さな箱を差し出した。


「これ?」


ジッと小さな箱を見た。


パカッと開けると、小さなハート形のダイヤの付いた指輪が入っていた。


「葵織…オレのそばにいて欲しい。」


ジッと見つめるその目は。


冷たいのに。


どこか哀しそう。


「鷹都…」


ポツリとつぶやくと。


スッと手を差だした。


「鷹都、言ってくれたじゃん。壊れたら拾い集めてくれるって。あたしは、弱いから。拾い集めてくれる人がいないと、壊れたままになっちゃうよ?」


ポロポロと涙を流しながら。


ニッコリと笑った。

< 411 / 412 >

この作品をシェア

pagetop