愛玩~夢幻の秘密~
それは、悲しみを心に宿さないように。
涙で押し出している。
「壊してしまっても…悲しませてしまっても。それでもそばにいたいと、これを受け取ってくれるか?」
あたしの前にひざまずくと、スッと小さな箱を差し出した。
「これ?」
ジッと小さな箱を見た。
パカッと開けると、小さなハート形のダイヤの付いた指輪が入っていた。
「葵織…オレのそばにいて欲しい。」
ジッと見つめるその目は。
冷たいのに。
どこか哀しそう。
「鷹都…」
ポツリとつぶやくと。
スッと手を差だした。
「鷹都、言ってくれたじゃん。壊れたら拾い集めてくれるって。あたしは、弱いから。拾い集めてくれる人がいないと、壊れたままになっちゃうよ?」
ポロポロと涙を流しながら。
ニッコリと笑った。