愛玩~夢幻の秘密~

「おう。郁人おはよう。今日は遅いのか?」


たまたま郁人も部屋を出てきたところで。


「ああ…。」


それだけしか言わなくて。


そのまますぐに仕事に行っちゃった。


「相変わらず忙しいのな。」


ボソッと柚夢がつぶやいた。


そっか。


まだ忙しいんだ。


だから話せないのかな?


「ねぇ、ちゃんと約束守ってよね?」


思いっきり柚夢をにらみ上げた。


「ああ。今日が最後だからね。」


その為に、あんな屈辱を1週間も我慢したんだから。


忘れたなんてとぼけたら許さない。


「絶対だよ!?」

「分かってるよ。だから、今日は学校が終わったら迎えに行くから。」


「え?学校に女の子でも漁りに来るの?」

「違うよ。デートしよう。」


ポンと頭をなでると、そのままリビングに入っちゃった。


「デートって…。」


なでられた頭をグシャッとつかんだ。


気分は乗らなかったけど。


約束の話が聞ける。


ただそれだけだった。

< 45 / 412 >

この作品をシェア

pagetop