愛玩~夢幻の秘密~
「おう。郁人おはよう。今日は遅いのか?」
たまたま郁人も部屋を出てきたところで。
「ああ…。」
それだけしか言わなくて。
そのまますぐに仕事に行っちゃった。
「相変わらず忙しいのな。」
ボソッと柚夢がつぶやいた。
そっか。
まだ忙しいんだ。
だから話せないのかな?
「ねぇ、ちゃんと約束守ってよね?」
思いっきり柚夢をにらみ上げた。
「ああ。今日が最後だからね。」
その為に、あんな屈辱を1週間も我慢したんだから。
忘れたなんてとぼけたら許さない。
「絶対だよ!?」
「分かってるよ。だから、今日は学校が終わったら迎えに行くから。」
「え?学校に女の子でも漁りに来るの?」
「違うよ。デートしよう。」
ポンと頭をなでると、そのままリビングに入っちゃった。
「デートって…。」
なでられた頭をグシャッとつかんだ。
気分は乗らなかったけど。
約束の話が聞ける。
ただそれだけだった。