愛玩~夢幻の秘密~

「ごめん…仕事の途中だもんね。」


忙しい中、柚夢のせいで迎えに来るハメになったんだから。


怒るのも当然だよね。


「…カゼひく。」


ボソッと一言だった。


久しぶりに聞いた、いつもの郁人。


「あ…あうん。大丈夫。」


そう言って笑った。


「3月でもまだ冷える。」

「そうだね。」


自分でも不思議だった。


涙が止まらなくて。


いつもの会話なのに。


それが出来ることが嬉しくて。


涙が止まんないよ。


そんなの見られたくなくて。


慌てて車から降りた。

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