愛玩~夢幻の秘密~

ベッドと机。


それとソファしかない。


強くつかんでたはずの郁人の腕。


手から力が抜けて行って。


部屋でも間違えた?


って、思っちゃうくらい。


目の前の光景が信じられなかった。


「そんなに理由が知りたい!?」


ポツリと一言つぶやいた。


「う…うん。」


だって、郁人のモノがないから。


1週間前まで、ここには郁人のモノがあって。


なのに…。


1週間でどうしてなくなっちゃうの?


招き入れられた部屋の中。


見回すことも忘れて。


郁人に連れられるまま。


ソファに座った。


そのまま郁人はあたしの目の前にひざまずくと、ゆっくりと両手をつかんだ。

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