愛玩~夢幻の秘密~
それから少しして出会ったのは。
想像とはかけ離れた男の人だった。
「良かったわね。お兄さんが迎えに来てくれたわよ。」
そう言って案内された部屋には。
一人の男の人が立っていた。
「初めまして。神乃木…神乃木郁人(かみのぎ・いくと)です。」
窓から差し込む光が眩しくて。
顔がよく見えなかったけど。
男の人の声が優しくて。
差し出された手にためらいもなく手を伸ばした。
「は…初めまして。」
緊張しちゃって小さな声しか出ない。
「今日は俺しか来れなくてごめん。お家に付いたら2人のお兄ちゃんが待ってるからね。」
緊張してるあたしに、そう言いながら頭をなでて笑った。
笑った顔がとってもキレイで。
ボーっと少しだけ見とれてしまって。
お父さんの事も。
お兄ちゃんが他にいることも。
聞きたいことなんか全部忘れちゃって。
差しのべられた手に引かれ、着いた先は大きなお屋敷だった。