いきものがたり
『はい?宮城?何で宮城?宮城って確か牛タンが有名なとこだよね?』

「とりあえず、来週から宮城に行くんだけど行けない?考えといてよ。」


私は、この時本当に何も考えてなかった。

美味しい牛タンでも食べに行こう!

そんな観光気分。



だって、私には関係のないことだったから。

日本のどこで何が起ころうと私に直接関係なければ興味がない。


ガソリンが並ばないと買えなくって不便なことはあった。

カップラーメンやミネラルウォーターの買いだめすんなっつーの。

エスカレーターやエレベーターが節電の為、止まって階段を利用、電車の本数が減り、 私が住んでる周りでは時間帯によって停電になったりした。

住宅リフォームをやってる会社だったから仕事はあるが、材料が手に入らなかったり、コンパネの値段がみるみるうちに上がった。


日本の一大事!


なのに私は、地震の2週間後呑気にタイ旅行に行っていた。

私が旅行をやめたところで何も変わらないじゃない?


全くひどい話である。


でもそれが現実。



そういう考えの人が私だけかと思ったらそうでもない。

気の毒とは思うけど何もしない。


できないとしないのは同じことだ。

言うだけなら誰でもできる。




結局、人は自己中で他力本願な生き物なんだ。


『誰かがやる。』


そう思えば、たとえそれがどんなことで
あっても気負わず生きていける。


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