未来の魔球は少女を救う
母親が死んでいてはAは元の時代には存在しえない。ただそれだけのことだった。言うならば、パラレルワールドといったところか。

ここでBとCの出番である。
BはAと面識があり、親しく交流のあった歴史学者であった一方、CはAのことなど見たことも聞いたこともなかった幼い少年であった。

Aの処刑を見届けたあと、BはCと共に元の時代まで帰るつもりであった。

しかし悲劇は連鎖した。


なんとBも帰ることができなくなってしまっていた。



「Aと交流の深かったBは、もはやA無しではその人生のどこかで矛盾が生じてしまう様になっていた。」

というのが研究者達での通説であり、Cの持ち帰った貴重なデータから解析された、「親殺しのパラドックス」の一つの答えだ。
つまり決定的に歴史が変わってしまった場合、その変化は元の時代とは切り離されて考えなくてはならない「パラレルワールド」説だ。

「必然性」と「パラレルワールド」という二つに守られ、歴史はそう簡単には変わらない。

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