未来の魔球は少女を救う
一回目のタイムトラベルは自分の生まれた日でした

中学二年の秋、昔は『修学旅行』と言っていた行事に変わり、タイムトラベル、『時間旅行』に行くことが習わしになっていた
中学校に入るや否や、毎週のようにタイムトラベルの理論だとか、パラレルワールドの仕組みだとかをみっちり勉強させられる

とはいっても仕組みなんかは全然チンプンカンプン。
要するに現代では波風立てず、ひっそりと過ごさなきゃいけない。ってことがわかる程度だ
その上で、中学一年の春休みを丸々使ってテストを受けさせられる
それもペーパーテストのみならず、いわゆるグループ・ディスカッションであったり、とっさの判断や性格、思考パターンを見るような心理テストのようなものまで幾つも受けさせられる

それらをクリアし(たいていの場合は通る。よっぽどの危険思考の持ち主でない限り)晴れて時間旅行許可書が発行され、昔に行ける

私立の学校なんかだと、自由に行き先を決めたり、班別自由行動があったりするわけだが、公立組はもっぱら一律『自分の生まれた日』しかもせいぜい5,6時間しかいられないわけだ
学校側は、親の自分に対する愛情を再確認することで、反抗期を穏やかに済ませる、といったねらいがあるそうなのだが、そんなのはうまくいってない家庭だけにして、私みたいに仲の良い母娘の所はもっと自由に過ごさせてほしかった。と強く願ったものだった

女の子の一人旅は色々な人に心配をかけたみたいだけど、今のところは上々
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop