ハチミツ×シュガー



「ねぇ、片割れに勉強教えてくれるか聞いてくれない?」



 お昼休みに、珍しく真弓が頼み事をしてきた。

 しかも勉強って…。


「多分大丈夫だと思うけど……どうしたの?急に」


 私がゆっくりお弁当箱を開けると、真弓はニンマリ笑って私のお弁当から卵焼きを取り上げ、そのまま口に放り込んだ。


「うん、相変わらず皇くんの卵焼き美味しい!

 ……いや、2年になってまだ2ヶ月くらいじゃない?
 授業の内容、今のうちから理解しときたいんだよね〜。

 試験の結果次第で夏休み無くなるし……それだと、デートに支障きたすというか……」



 ……夏休みって……


「まだ5月よ?」
「何言ってんのっ!
 来週には6月だよ?その次は夏休みじゃない!」


 半ば呆れて言った私に、真弓はめちゃくちゃ激しく攻めてくる。




「……気が早いよ……」

「楓は彼氏いないからそんな事言えるのっ!

 ――てかさ、もうそろそろ彼氏見つけたら?」



 お弁当をパクパク食べながら、今度は真弓が溜め息混じりに言ってきた。

 ……どうやら呆れてるらしい。



「……私なんかに出来るわけないじゃない」

「ああっ もう!なんでそんなにネガティブなのよっ」


 口に含んで大きな声を出すから、色々飛んでくる。



「真弓……汚い」
「じゃあ、俺とお試しで付き合ってみる?」



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