ハチミツ×シュガー
キーンコーン……
「はい、みんな気をつけて帰るように!」
「……礼!」
先生に礼をすると、みんな一斉に教室を出て行く。
私も立ち上がり、カバンを手にした。
「じゃあ、楓。
また明日ね!」
彼との約束があるからか、急いで帰って行く真弓。
私も手を振り、教室を後にした。
みんなが下駄箱まで向かう中、私はみんなとは逆に、下駄箱から離れていった。
そうして辿り着いたのは、図書室。
カラカラ…
「失礼します…」
いつもは私と図書委員しかいないんだけど……。
今日は、私以外の生徒がここに来ているはず。
――ほら……。
カタン…
「ふふっ…寝てる…」
私が座った隣の席では、茶色の髪がフワフワ風になびいていて……
腕の中にある顔は、スヤスヤと気持ちよさそうに眠りについてる。
「……長い睫毛」
触れたくて……
ゆっくり手を伸ばした、瞬間。
「――如月」
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